2007年3月期連結決算では、経常利益ベースで過去最高を記録したスクウェア・エニックス。2008年3月期中間決算説明会の直後、和田洋一社長に直近の業績の状況や人材育成、ブランド構築などについて聞いた。
2008年3月期中間の連結決算の業績は、まずまずといったところでしょうか。
- 和田
- 今年7月末に中間期業績予想の上方修正を発表しましたが、今回、売上高で722億7,100万円、営業利益で97億5,200万円、経常利益で93億300万円と、上方修正時点より、少しばかり上回るものとなりました。とはいえ、満足のいく数字とは言えません。また、世界トップのコンテンツメーカーを目指している視点から言うと、その内容において不満が残ります。今上期にはキッズ用カードゲーム機「ドラゴンクエストモンスター バトルロード」などの大ヒット作品が生まれていますが、もっと多くの“新しい芽”が出ないと及第点は付けられません。
ただ、経営指標の面でみると、足腰がしっかりしてきたのでは。
- 和田
- 企業としての基礎体力、つまり収益を上げるべき時にきちんと上げ、機会損失を少なくするという事業基盤はここ数年で確立したと思います。エンターテインメント産業では、常に大小の賭けをしなければいけません。そのため、経費、契約などの事業の根本がきちんとコントロールされ、足腰が鍛えられているということは大変重要なのです。
今年5月、2011年3月期決算時に掲げた中期経営目標「経常利益500億円達成」への戦略は。
- 和田
- 中期経営計画を実現した上で、その後の10年間も勝ち続けるために、M&Aも視野に入れて新規分野の開拓を積極化しています。ちなみに、2008年3月期連結決算の経常利益見通しは、200億円です。ここから、3年半で300億円上乗せというと大言壮語に聞こえるかも知れませんが、まず、スクウェア・エニックス本体で300億円を達成する素地は整いつつあります。大きな壁と想定しているのは、300億円から350億円を実現する段階だと踏んでいます。一方のタイトーは、ようやく40億から50億円の経常利益を出すところまで来ましたから、来年度以降は、100億円の努力目標を設定するつもりです。残る100億円分は、手許資金を有効活用してコンテンツラインナップを拡充するなどで達成しようと考えています。