FF15 では、料理の表現にも徹底的にテクノロジーをつぎ込んでいます。
制作チームのなかで合言葉になっていたのは「シズル感」。ステーキでたとえるなら、肉の柔らかさや焼ける音、脂が乗っている感じまで伝えたかった。映画の食事シーンで思わず「この料理食べてみたい!」と感じることがありますが、そのような人の心を動かす“美味しそう”な表現をゲームでも実現したかったんです。
FF15は“体験”が一つのキーワードになっているので、料理もまずは自分たちでつくってみました。そのときの様子を映像に撮って、後からスタッフ皆で確認すると、思わず全員が「うわっ、うまそう!」って声を出す瞬間があるんです。たとえば肉にナイフを入れ、肉汁がジュワッと溢れ出す瞬間とか。そうした心動く瞬間をグラフィックに込めるように、“美味しそう”な表現を磨き抜きました。
でも、料理のシズル感はCGで表現するのがかなり難しくて。そこで実際につくった料理をフォトスキャンという技術で3Dデータにするなど、さまざまなアプローチを試しました。それでも最初のうちは「まったく美味しそうに見えない。これじゃあ“飯テロ”にならない」など、スタッフ間でも厳しいダメ出しの声が飛んでいましたね。
特に表現が難しかったのがおにぎりです。美味しそうに見える粒立ちや照り具合を出すのに苦心しました。おにぎりに人一倍のこだわりを持つディレクターの田畑からもなかなかOKが出ず、相当な数のパターンをつくりましたね。最終的に、おにぎりCGのデータ容量がリヴァイアサンと同じくらいになってしまったほどです(笑)。スタッフのこだわりが詰まった料理の数々をたっぷりと堪能してください。
FAINAL FANTASY XV アートディレクター